会員便り

カジュアルに楽しむ豪華クルーズ

2019年11月
植木 圭二

   テレビショッピングのジャパネットはクルーズ業界にも参入しており、今回私はそのジャパネットのクルーズに行ってきました。ただしジャパネットは企画販売しているだけで大手クルーズ会社MSCが運航する船を丸ごとチャーターしています。

 あの独特の声と言い回しで「ジャパネットならではのクルーズ、これもあれも付けて○○円、さらにお値打ち価格!」というもので、船内のアルコール飲み放題で諸費用も全て込みの価格になっています。
そのジャパネットのお陰もあってカジュアルでありながら豪華なクルーズを楽しむことができました。
 
 

■MSC「スプレンディダ」
 乗船したMSCのクルーズ船「スプレンディダ」は、大きさは13万8000トン、全長333m、全幅38m、デッキ(甲板)は16階まであります。日本船籍のクルーズ船で一番大きい「飛鳥U」は5万トンなので大きさからすれば圧倒的です。

 就航は2009年なのでちょうど10年、一般的に客船の寿命は40年くらいなので油が乗り切っている良い時期です。
乗客の最大定員は4363人ですが、今回の航海では乗客は約3300人、それに加えてジャパネットの社員が100人程乗っています。

 
  ■後ろ姿
 クルーズ船の後ろ姿というのはあまり注目されませんが、この船のそれはまるで巨大なリゾートホテルのようです。最上階に見えるのがビュッフェレストランで、その窓際の席に座って船の2つのスクリューが作り出す航跡を眺めながらビールを飲むのはたまらない喜びです。
 



 

■船内
 私が今まで紹介してきました豪華客船と同じように3階吹き抜けの大きく豪華なロビーがあります。船には通常のプールの他に全天候型プールやジャグジー、ジム、カジノ、バー、シアターなどクルーズ船に必要な施設はひととおりそろっています。

 このMSCのスプレンディダはカジュアル船というランクの船です。
クルーズ船の格付けは3段階あり、最も豪華で乗船費用も高いのがラグジュアリー船と呼ばれる船でクルーズ船全体に占める割合は4%程しかありません。以前紹介したクイーン・エリザベスがその一隻です。

 その次はプレミアム船で全体の12%、以前紹介したダイヤモンド・プリンセスがこのクラスになります。
そしてその他80%強がカジュアル船になります。大衆向けなのでクルーズ初心者には敷居も低く乗り易い船です。

 
 

■室内プール
 噴水に囲まれた室内プールは温水プールなので泳いでも快適です。全天候型なので室内の温度管理は適温に設定されており、天井は開閉型になっています。

 プールサイドにはジャグジーがいくつかあり、温水プールと同じくらいの温度からお風呂の温度くらいまで数種類の水温のジャグジーが用意されています。

 
  ■屋外プール
 船のほぼ真ん中の14階のデッキには大きなプールの他に、ジャグジーや大型ビジョンも設置されており、写真のようなヤシの木の形をした噴水もあります。

 さすがに13万トン以上の大型クルーズ船ならではの解放感とリゾート感覚あふれる造りになっています。
 

  ■朝から一杯
 夜まで待てずに午前中からビールやワインを飲む紳士淑女たちが多くいます。その人たち笑顔が実に気持ち良く感じます。船旅に出た解放感から非日常を楽しんでいるのでしょうが、ジャパネット・クルーズの特色であるアルコール飲み放題の威力でしょう。
 
  ■ピザ
 MSCという会社はイタリアの会社なので、ビュッフェレストランでは美味しいピザがいつでも食べられます。専門のピザ職人がいて、焼きたてのピザをいつも提供してくれます。もちろん美味しく、種類も豊富で、見た目にも魅力的です。これが実にビールやワインに合うのは言うまでもありません。
 
  ■カジノ
 日本の法律ではカジノは禁止されていますが、日本の領海から離れるとカジノがオープンします。船舶は領海内では沿岸国の法律が適用されますが、領海を出ればその船の船籍の国の法律が適用されます。これは外国船籍の船の特権でもあります。

 3300人も乗っていれば、勝つ人も負ける人もいますが、私が船に乗ってから知り合いになった人たちはみな見事に勝ち組になりました。
 
 

■函館ではバスラーメン
 どこの寄港地でも土産物の出店などがありますが、函館では有名なバスラーメンが来ており、船が接岸している埠頭で営業していました。バスの中で暖かいラーメンを食べることができるので寒い土地柄ならではの名物になっています。

 このクルーズは「日本一周クルーズ」と称しており、横浜を出航して時計の針と反対回りに函館、秋田、金沢、韓国の釜山、佐世保、徳島に寄港して、横浜に帰港する秋の日本各地を海から回る旅になっています。

 ただ残念なことに金沢寄港は台風の接近によって取り止めになりました。今年は台風被害が多い年でしたが、こんなクルーズにも影響を及ぼしていました。

 
  ■寄港地での絶景
 写真は長崎の佐世保の「九十九島」を展望台から写したものです。今回のクルーズ寄港地で撮ったお勧めの絶景の写真を1枚選びました。

 どこの寄港地でもジャパネットが用意するオプショナルツアーや港と市街地を無料送迎するバスも用意されており、上陸しても充分に楽しむことができます。
 
  ■釜山の港風景
 日本の法律上、外国船籍の船は日本国内だけでクルーズを完結できないことになっており、この船も韓国釜山に寄港します。
 釜山は大型客船が何隻も接岸できる大きな旅客船専用の埠頭があり、私たちの船が寄港した時も別のクルーズ船が停泊しており、その他に関釜フェリーや中国との定期船も停泊しています。

 ざっと数えて60台以上の大型バスが大きな駐車場で待機しています。船に乗っている3300人が観光に行くオプショナルツアーやシャトルバスで、大型クルーズ船が寄港すると経済効果がどれほどかこのバスを見ただけでも実感します。もちろん日本国内の寄港地でも同様な光景になります。
 
  ■徳島の新たな名所
 徳島にある大塚国際美術館は私がお勧めする新たな名所で、昨年末の紅白歌合戦で米津玄師が歌い生中継されたことでも有名になりました。

 全ての展示品はレプリカながら西洋名画1000点以上を全て原寸大で再現しており、私たちが行った時には外国人も大変多く見学していました。その展示規模はとてつもなく広く見学順路の全行程は約4kmもあります。
レプリカですが本物といっても間違えてしまうくらい迫力も質感も本格的なものです。それを可能にしたのは大塚製薬グループの持つ特殊技術だそうです。

 写真はピカソの「ゲルニカ」で高さ約4m、横幅約8mと圧巻です。私はスペインの美術館で本物を見たことがありますが、本物を見た時と同じ感動を味わうことができました。
 
  ■エンターテインメント
 船内には1400人収容できるシアターがあり、ここでいろいろなショーや映画を観ます。ジャパネット・オークションなどというものあり、ジャパネットが品物を提供し売り上げは全額寄付するというジャパネットならではのものもあります。

 そしてサプライズ企画として公演前日まで秘密にされていたステージがあります。帰港3日前は有名な物まね芸人「コロッケ」、帰港前夜は武田鉄矢率いる往年のフォークグループ「海援隊」のステージです。残念ながら写真撮影は禁止されており写真は残っていませんが、楽しい思い出としては残りました。

 この船に乗った客層と、コロッケや海援隊のファン層が重なる部分が多いのか、1400人収容の会場では入り切れないので同日に同じ公演が2度ありましたがいずれも超満員でした。

 このような庶民的なエンターテインメントは他のクルーズ船では見られないものでジャパネットらしさと、クルーズ後半にサプライズ企画を持ってきて盛り上げるという作戦が功を奏したようです。
   
 

 これらの詳細な旅行記は旅のチカラ研究所のHPに公開しています。是非ご覧ください。

   
 
 

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