パナソニック電送社友会
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No.310
モンゴル紀行

2023年12月
植木圭二
 
 モンゴルといえば遊牧民族、チンギスハーン、最近では大相撲でも日本との交流が多い国ですが、 あまり旅行に行く機会がない国でもあります。そんな近くて遠い国モンゴルに妻と行ってきたので紹介します。
 
█ 圧倒的に多い日本車
  モンゴルの国土は日本の約4倍、人口は約340万人ですが、その人口の半分が首都ウランバートルに集中しています。 電車や地下鉄がないから通勤にはバスか車が使われるのですが、最近は車が非常に増えているとのことです。
 暖かい国ならばオートバイや三輪タクシーが使われますが、モンゴルの冬はマイナス40℃にもなり、 外気をそのまま受ける乗り物は使われません。

 そんな理由で自家用車が普及しているのですが、異常なほどに日本車が多く走っています。 モンゴルは日本の交通ルールと反対なので、車は左ハンドルのはずですが、走っている日本車はみな右ハンドルです。 それは日本国内を走っていた中古車をそのまま輸入しているからで、その大多数はトヨタ車です。 中でもプリウスが人気らしく走っている車の半分以上を占めています。故障しない日本車、燃費の良いハイブリッド車が人気のようです。 ここでも日本との関係の深さを感じます。

【モンゴルの交通渋滞 日本車が多い】
 
█ ガンダン寺
  ウランバートル市街地に1727年に創建されたチベット仏教のガンダン寺があります。 寺の中央の建物には金色に輝く25mの立派な観音立像がありますが、実はこの観音像は2代目で、 初代は旧ソ連に壊されて持ち去られたということです。
  モンゴルはかつて社会主義国で、宗教はご法度でした。そのため当時旧ソ連の最高権力者スターリンの指示で、 この寺では約1000人の僧侶が粛清(処刑)されたということです。
  もちろん現在は社会主義国ではなく、モンゴル人の約8割がチベット仏教を信仰しているとのことです。

【ガンダン寺】
 

【高さ25mの観音立像】
 
█ モンゴルを感じる
  市街地を抜けて平原に来ると、モンゴルを感じる景色になります。道の脇には動物の群れが現れ、羊、山羊、牛、馬、ヤクたちが放牧されています。 現在も遊牧民たちが放牧をして生計を立てているそうです。。

【平原を走る道路と遊牧されている羊の群れ】
 
█ ゲル
  白い丸いテントのゲルを多く見かけます。ゲルはモンゴルの遊牧民が暮らす移動式の家のことですが、 私は現在のモンゴルでは定住化が進んでいるから使われていないと思っていました。ところが現地ガイドの話では今でも多くの人々が ゲルで生活をしているということです。

  地元ガイドの案内で、現在も実際に人が生活しているゲルを訪問することになりました。
  かつてはこのゲルには家族5人で住んでいたとのことですが、子供たちが独立して今は夫婦2人で暮らしているとのことです。
  外にはソーラーパネルとパラボラアンテナが設置してあります。中に入ると窓がないのに意外に明るく、 天井に設けた換気の穴だけでこの明るさは信じられません。
  ソーラーパネルで得た電気を蓄えるバッテリーがあります。それもパナソニック製です。 丸い部屋の真ん中にストーブが置いてあり、壁にはベッドが2台、祭壇、鏡台、食器戸棚などもあります。

【ゲルの外観】
 

【ゲルの内部】


 そしてありがたいことにゲルの主人と奥さんが接待してくれました。全て自給自足なので、 牛乳、一口大の揚げパン、ヨーグルト、チーズ、乳製品から造ったモンゴル酒などを振舞ってくれました。
 
█ テレルジ国立公園
  ウランバートル近郊にテレルジ国立公園があります。草木のあまり生えていない山に囲まれた広々とした公園で、 観光客が宿泊するゲルやお洒落なレストラン、放牧地が広がっています。
  ここで観光客はゲルに泊まって乗馬体験、トレッキング、BBQ、星空観賞などで楽しむとのことです。 この公園はそんな光景が、行けども、行けども続いています。

【テレルジ国立公園の一部】

 国立公園内にアリアバル寺院があります。岩山の斜面に造られたチベット仏教の寺院で、 駐車場から本堂までは坂道と階段で、それなりに距離がありますが、約20分歩いて本堂にたどり着きます。

【アリアバル寺院への階段】
  寺院への階段を登り切った所から見る景色も、いかにもモンゴルらしい景色です。 日本の寺とは全く異なった場所に建っています。

【アリアバル寺院から見える景色】
  外観は赤や黄色の原色の塗装が綺麗に残っています。日本では直ぐに色あせてしまいますが、 モンゴルは乾燥しているので色あせしません。
  本堂に入るとやはり原色の色使いで幻想的できらびやか世界が広がっています。 そして中央の明かり取りの天窓の光だけで充分に明るくなっています。これも日本の寺ではありえない光景です。
 

【アリアバル寺院の本堂内部】
 
█ 民族衣装、民族楽器
  立ち寄ったレストランでは、昨今の“インスタ映え”を反映して民族衣装を着て記念撮影ができるという粋な計らいをしています。 日本でも外国人観光客が着物や浴衣に着替えて写真を撮りますが、その気持ちが理解できます。

【民族衣装に着替えた妻と私】
 食事をした後は民族楽器の馬頭琴(ばとうきん)の演奏が始まります。 馬頭琴はモンゴルの民族楽器で、2本の弦を弓で引いて音を出します。その音色は比較的低い音で力強く、 モンゴルの大草原を感じます。弦も弓も馬の毛を用いており、先端に馬の頭部の彫刻があるので馬頭琴と呼ばれています。

【民族楽器の演奏
 
█ 食事
  モンゴルの食事はとにかく肉料理で、羊肉、鶏肉、牛肉を主体に芋類や根菜が付いてきます。 当たり前ですが魚介類は皆無で、葉物野菜も少ないようです。
  代表的なモンゴル料理「ホルホグ」は骨付の羊肉を根菜や野菜と蒸し焼きにし、 真ん中に熱い石が置かれる豪快な料理です。味付けは塩コショウのシンプルのものになっており、日本人の口にも合いそうです。
 

【モンゴル料理のホルホグ】
 
█ 星空鑑賞、日の出鑑賞
  モンゴルは標高が高く乾燥しているので空気が澄んでおり、街路灯もないので星空鑑賞には向いています。
  しかし訪れたこの日は半月で、月明かりのために満天(満点)の星空とまではいかない状態でした。 それでも天の川も見えているから合格点でしょう。

  星空鑑賞があれば、日の出鑑賞もあります。
  朝早く起きて鑑賞地点に行くと、日の出前ですが既にかなり明るくなっています。 線路があって、2台のディーゼル機関車が大量の貨車を引いて近づいてきます。 中国から来てロシアのシベリアへ向かう列車だということです。

【シベリア鉄道と日の出直前の風景】
 
█ チンギスハーンの騎馬像
  エルデネという村にチンギスハーンの大きな騎馬像があります。最近建てられたもので、ステンレス製で銀色に光り輝いています。 馬とチンギスハーンを合わせた高さは40m、台座の部分が2階建ての博物館で、台座も合わせると50mを超えています。

【チンギスハーンの騎馬像】
 博物館にはチンギスハーンについて様々な展示があり、彼が築いた大モンゴル帝国の最大版図が壁一面に描かれています。 東西は朝鮮半島からバルカン半島まで、南北はシベリアからインド北部まで、アジアの大部分と東ヨーロッパを支配しました。 私が知っている限り史上最大で、 この大きさの国は後にも先にもモンゴルしかありません。やはりこの国ではチンギスハーンは絶対的英雄なのでしょう。

【大モンゴル帝国の最大版図】
  チンギスハーンの騎馬像を見ながら、「日本人で世界的に有名な英雄は誰かいるか」と考えましたが、 残念ながら誰も思いつきませんでした。
 
  以上、モンゴルの旅を簡単に紹介してきましたが、 この紀行文では紹介しきれない場所やエピソードなどを記載した旅行記を別途公開しています。 「旅のチカラ研究所」のホームページの旅行記「モンゴル紀行2023」を是非ご覧ください。
  http://tabinotikara.com/index.html

植木圭二
 
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